今回は、インターネット上で話題になることも多い「オーブンでマザーボードやグラフィックボードを修理する方法」についてです。
本当に効果があるのか、またどんなリスクがあるのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで、修理のプロの立場からこの方法がどういったものか、リスクと効果について詳しく解説していきます。
そもそも「オーブン修理」とは?

まず、「オーブン修理」とはどういう手法かを説明します。
この方法は、マザーボードやグラフィックボード(以下、グラボ)に不具合が生じたとき、家庭用オーブンを使って高温で基板を加熱し、基板上の部品の接触不良やハンダ剥離の問題を解決しようとするものです。
具体的には以下のような手順で行います。
- 基板をパソコンから取り外す
- オーブンに基板を入れて一定の温度で加熱
- 冷却してから再度取り付ける
基板を加熱することで、電子部品のハンダが再接合され、一時的に動作が改善する場合があるとされています。
この方法は特に、画面のちらつきや表示不良などのグラフィックボードの症状改善を試みる際に用いられることが多いです。
大体は最終手段で、道具がある方は特定のパーツ部分をヒートガンで加熱して直したりします。
なぜオーブンで加熱することで修理できると思われているのか?

コンピュータの基板は、非常に繊細な回路がハンダによってつながれており、このハンダが経年劣化や熱変化の影響で微細に剥がれることがあります。
オーブン修理は、基板全体を加熱することでこのハンダを再度溶かし、接触不良の部位を「つなぎ直す」ことを目的としています。
特に、次のような原因が考えられる症状に対して一時的に効果があるとされています。
- 経年劣化によるハンダの微細な亀裂や剥がれ
- 高温環境で使用され続けた部品の接続不良
- チップセット周りの温度変化によるハンダ劣化
このような状況に対して、オーブンでの加熱により、再接合が促進されて動作が一時的に回復するケースも報告されています。
しかしながら、この方法がすべてのケースにおいて有効であり、安全であるとは限りません。
オーブンでの修理に期待できる効果と限界
「オーブン修理」での加熱処理によって一時的に回復する例はあるものの、以下のような限界もあります。
- 一時的な応急処置
オーブンで加熱することで接触不良が改善することがありますが、これはあくまで応急処置です。基板やハンダが完全に修復されるわけではなく、再び不具合が生じる可能性が高いです。 - 家庭用オーブンでの温度管理が難しい
家庭用のオーブンは工業用の高精度な温度管理機能がないため、基板に適切な温度を均一にかけることが難しいです。温度が高すぎると基板全体がダメージを受けるリスクがあり、逆に低すぎるとハンダの再接合がうまくいきません。 - 他の部品へのダメージ
高温での加熱によって、基板に搭載された他の電子部品にもダメージが及ぶ可能性があります。
特に、プラスチック製の部品やコネクタ、コンデンサなどが熱により変形したり破損するリスクがあり、かえって故障が悪化することもあります。
実際にやってみた
お客様のパソコンなどでは絶対にしませんが、個人的に持っていたゲーミングノートパソコンのGPU部分に不具合が出た際にやってみました。
結果を言うと成功して、正常に動作しています。
症状としましては、電圧が異常な値を示しており、通常80wほどしか流れない部分に、常時400wが流れていました。
GPUクロックは300Mhzから上がらず、動作が困難でした。
これはどこかがショートしているかはんだクラックを起こしていると思い、壊れるのを覚悟でしたところ、直ってしまいました笑
※追記(2025/01/19):時間が立つにつれて、結局壊れてしまいました。
大体は、CPUやGPUの部分が過熱のし過ぎで壊れますが、余熱なしで加熱したのがよかったのかもしれません。
ただ、オーブンで焼いている最中はプラスチック?はんだが溶けたような匂いが、部屋中を漂っていました。頭が痛くなるような匂いがするので、実際にする際は換気は必須です。

気を付けてほしいのが、完全に基板のみの状態で、直したいパーツ以外の部分をアルミホイルに包んだ状態でオーブンに入れてください。
余計なもの(グリス、固定パーツ)がついていると、故障や燃える原因となるので、本当に気を付けましょう。
電子レンジのオーブン機能を使う場合は、間違えてレンジ機能を選ばないようにしてください。
アルミホイルが青白く光り、重大な事故につながります。
今回は220℃ 余熱なしで15分ほど回しました。
その結果、普通に動作するようになりました。(CPU温度が高いのはグリスを塗布していないため)


オーブン修理はおすすめできるか?
「オーブン修理」はあくまで一時的な応急処置であり、信頼性のある修理方法としてはおすすめできません。
さらに、以下のリスクも考えられるため、安易に試すのは避けた方がよいでしょう。
- 基板が完全に故障するリスク
オーブンでの加熱処理によって、かえって基板全体が壊れてしまう可能性が高まります。特に加熱が均一でない場合や、特定の部分だけが過熱されると、さらに深刻なトラブルを引き起こします。 - 保証が効かなくなる可能性
メーカーの保証が残っている場合、このような自己流の修理を行うことで保証が無効になる可能性があります。保証が効く期間内であれば、メーカーや専門業者に依頼する方が無難です。 - 基板が燃える可能性がある
知識がない状態で、なんとなくで作業をしてしまうと、プラスチック部分のパーツを取り外し忘れたりして燃えてしまい、有毒なガスが発生する可能性があります。
代替手段
- 専門の修理業者に相談する
オーブン修理はリスクが大きいため、プロの修理業者に依頼するのが安心です。私たち「パソコン修理サービス」では、精密機器の修理に必要な設備と技術を持っており、安全かつ確実な修理を提供しています。 - 部品交換も視野に入れる
グラフィックボードやマザーボードは劣化が進んでいる場合、部品交換が必要なこともあります。部品交換は修理よりも費用がかかる場合がありますが、長期的な視点で見ればコストパフォーマンスが高い選択肢です。 - 定期的なメンテナンスを心がける
マザーボードやグラボの故障を未然に防ぐためには、定期的なメンテナンスが重要です。
内部の清掃やファンの点検、適切な冷却対策を行うことで、長寿命を保つことが可能です。
まとめ:安易なオーブン修理は避け、専門業者に相談を
オーブンでの加熱修理は一部の不具合に一時的な改善が見られることもありますが、多くのリスクが伴います。
下手をすると、基板全体が故障してしまい、かえって修理代がかさむ結果となることもあります。
「パソコン修理サービス」では、お客様のパソコンを丁寧に診断し、最適な修理方法をご提案しています。
グラボやマザーボードのトラブルに関しても、精密な診断を行い、必要に応じた修理や交換を行います。ぜひお困りの際は、お気軽にご相談ください。
コメント